「青春18きっぷ」とは

日本中のJR普通/快速列車とJR宮島航路に乗り放題の切符だ。

乗り降り自由 。
使い方次第で格安に旅行することができる。

発売は春・夏・冬の3回で、利用期間も学生の長期休みに合わせてある。

2007年春は、
JR発足20周年・青春18きっぷ」 として発売。

1枚で1日有効×5回分 8000円と、なんと一日あたり1600円!
一日の最初に乗車するときだけ改札口でスタンプを押してもらうと、あとは提示するだけで日本全国乗り放題。

まさに、黄門様の印籠のごとく使える!


ある春の日の朝。

「心はいつも青春」の筆者
HIRO。早速、「青春18きっぷ」をポケットに青春の旅に出かけた。

春の日を浴び、
JR五日市駅(広島市佐伯区)に山陽線下り・新山口行き113系電車が3番ホームに滑り込んで来た。



広島−岩国間<快速>。
休日の朝とあって、車内は閑散としている。



さて、
次の停車駅はJR唯一の連絡船「宮島航路」連絡駅、宮島口駅(広島県廿日市市)。


早速、途中下車。乗り降り自由が「青春18きっぷ」の特権だ。

それにしても、乗った次の停車駅で
JR宮島航路に乗り換えられるなんて、全国の18きっぷファンの中でも幸運な旅人だなと思う。



JR宮島口駅からJR宮島口桟橋まで徒歩3分。


桟橋前には広島電鉄・宮島口駅もあり、広島都心の市内線(軌道)経由でJR広島駅前まで乗り入れている。


今日乗船するフェリーは「みせん丸」。
隣りの桟橋では、広島電鉄グループの
松大観光汽船がJRとほぼ交互に、15分間隔で運行している。


いつもはパセオカード(バス各社・広島電鉄・アストラムライン・JR/松大宮島航路に乗れる)を使っているので、早く出発する方のフェリーを利用するが、今日は「青春18きっぷ」なのでもちろんJRを利用する。


JR宮島航路の特徴は、宮島行きが「宮島の大鳥居に大接近」すること。観光客がカメラを構えてその時を待っていた。


筆者は青春の旅の途中。JR宮島桟橋へ降りるや、本土へ即Uターンとなる。



HIRO TABI

再びJR宮島口駅。さっき乗り合わせた型と同じ、快速・新山口行き113系電車に乗り込み、瀬戸内沿いに山陽線を下ることにする。


県境を越え、
岩国駅から終点・新山口駅までは普通列車となる。

春の海を車窓から眺めながらののんびりした旅も、なかなかいいものだ。
新幹線では絶対味わうことのできない贅沢な時間が流れる。


やがて車窓には周防大島へ架かる「大島大橋」が見えてきた。
瀬戸内海では淡路島、小豆島に次ぐ3番目に大きい島である。


しばらく走ると電車は
大畠駅(山口県柳井市)へ停車。
駅のホームには「大島方面 のりかえ」と案内あり、駅前からは中国JRバスと防長交通が大島大橋経由で島内を結んでいる。

実はこの大畠駅も先ほど途中下車した宮島口駅同様、かつて「
国鉄大島連絡船」の乗り換え駅。

1976年大島大橋開通に伴い、役目を終えて廃止。
その後、国鉄バス→中国JRバスが本土と島を結んでいるが、「国民の足」だった国鉄は遠い過去の物語。

中国JRバスは近々、同じく島内にも路線を持つ防長交通に完全移管させ、過疎の島から完全撤退する予定だ。



新幹線に接続する徳山駅(山口県周南市)でしばらく停車したあと、電車は終点・新山口駅を目指し山陽線をさらに西へと向かう。


電車は瀬戸内の平野部を進み、今までの「ゴトンゴトン」から「ゴー」といった音に変わると、一気に車窓が開ける。

防府市内の鉄道高架を進んでいるからだ。

もし途中下車しなければ、乗り込んだ五日市駅からは、ちょうど2時間ほどの距離である。


やがて、駅前の大型ショッピングセンター「防府サティ」が筆者を出迎えてくれる。防府駅(山口県防府市)である。

ここで降りることにしよう。



防府駅は高架駅で、まるで新幹線駅のようで駅前や周辺もよく整備されている。
空洞化し廃墟のような徳山駅前よりよっぽど都会的(?)だ。ただし、人影はまばら・・・。


かつて、新幹線の走る「防府市右田地区」に新幹線駅を作ろうという運動に当時の市長が「防府駅周辺整備が先決」と発言していたが、正しい判断だったと思う。


ここ防府駅では、途中下車し、鉄道省が1932年に全国で2番目に開業させた路線「
省営バス山三線」の軌跡を、現在の中国JRバス防長線に乗って辿ってみることにした。

新幹線が開通する以前は、秋芳洞や萩への国鉄バス接続駅だったが、現在は山口駅や山口大学方面へのローカル路線になっており、決して岩国や大島のように撤退しない保障はない。



なお青春18きっぷには、「JRバスを除く」とあり、このきっぷで乗ることはできないので、念のため申し添えておこう。



さて、再び電車で青春の旅を続けよう。


防府駅を出て17分。車窓から「広島カラー」(黄と白のツートン)の気動車やSL山口号の客車が飛び込んできた。

新山口駅(山口市小郡)だ。

2003年10月のダイヤ改正に合わせて、小郡駅から駅名変更した筆者とってまだ耳慣れない駅である。


平成の大合併で、吉敷郡小郡町から2005年10月山口市へ編入となったため、かつて山口県の玄関駅は「郡部」にあるといった揶揄(やゆ)から逃れることができた。

最も、旧小郡町民は「
小郡駅」に愛着があったことは言うまでもないだろう。

新山口駅は新幹線のほか、山口線、宇部線の乗り換え駅であり、先に述べたように「山口県の玄関駅」である。

この駅の降り立った旅人が感じる印象・・・それが山口県の今を如実に表しているいるだろう。

よく分からない人は一度、新山口駅で途中下車してみてほしい。


久しぶりに降り立った新山口駅で、これもまた久しぶりに117系電車と遭遇した。

117系は福山に住んでいた時、快速「サンライナー」として岡山までよく利用した電車。いやぁ、なつかしい友に出会った気分だ。

この普通・下関行き電車は5番ホームから出発、山陽線を下って行った。


筆者はこの駅から
山口線に乗り換えることにする。


在来線の連絡路。

0〜2番が山口線で3〜7番が山陽線、そして一番新幹線寄りの8番が宇部線のホームである。


それにしても寂しい・・・。



5番ホームの下関行き117系を見送った後、急いで山口線ホームへ向かうと、ちょうどキハ58系?らしき気動車(ディーゼル)が黒煙を上げ、2番ホームから離れていった。

臨時快速・津和野行きだった。

来週からこの時間帯にはSL<快速>やまぐち号が運行される。キハ58系で試運転といったところか。

筆者は次発の普通・山口行きに乗り込む。これも旧国鉄の急行型軌道車・キハ58系だ。

快速が発車した後だけに、車内は閑散としている。

山口線はこの手の旧型車両が今も大活躍している。

美祢線(厚狭−長門市・仙崎)や島根県内の山陰線ではステンレスボディのキハ120系が主力なのに、県庁最寄り駅「山口」へ向かうローカル列車が快速・山口ライナーを含め、すべて国鉄時代の「広島カラー」の気動車というのも面白い。

もっとも、特急「スーパーおき」が新山口−鳥取・米子間(キハ187系・2両編成)を3往復しているが、風格では先代の国鉄カラー・特急「おき」(キハ181系・3両編成)にかなわない。

SLだけでなく、広島カラーの車両も「国鉄カラー」に戻し、
「なつかしの国鉄色で行く昭和の旅・やまぐち」を売りにしてはどうだろう。



乗客の少ない車内で記念撮影しながら出発を待つこと15分。

甲高いディーゼル音を響かせながら普通・山口行きが走り出した。2両編成のワンマンカーだ。

「ワンマンカーなんて・・・」という人もいるが、駅名をはっきりアナウンスしない車掌が乗務する列車より、よっぽど安心して乗れる。

ただし、無人駅(湯田温泉、山口以外)での降車は運転席のある1両目前方ドアのみなので、2両目に乗る人は要注意。



快速「やまぐちライナー」
なら、新山口駅から10分ほどで着く湯田温泉駅(山口市湯田温泉)に倍の時間をかけ、ディーゼル音を響かせながらの到着。

おおきな白狐が出迎えてくれる。

なんとものどかな駅前風景である。

JRを利用する観光客が少ない?
 いや、それ以前の問題として、湯田温泉自体の観光客が減っているのだろう。

湯田温泉のメインストリートに行く途中の、高田公園の一角には「足湯」が設けられており、ここは観光客でいつも賑わっている。


この通りをぬけ、湯田温泉街のメインストリート「旧・国道9号線」を歩いてみた。


時期的なものもあろうが、観光客らしき姿はまばらだ。やっぱり寂しい・・・。


途中、JR九州バスの高速バス「福岡・山口ライナー」山口行きと出会う。
中国JRバスとの共同運行で、山口駅−博多交通センター間を一日6往復している。

ここ湯田温泉(萩)からは広島バスセンターへ向けて、防長交通の高速バスも6往復が運行されている。

もう、地方都市での中距離移動は早い「新幹線」か、安い「高速バス」が主力で、ローカル列車は明らかに「脇役」になっているようだ。

ただし筆者の観察によると、山口県に乗り入れる高速バスはどれも空席が目立つ。

人口が確実に減っている”過疎県”への運行は、人気の高速バスといえどもかなり厳しいようだ。


湯田温泉駅に再び戻り、今日の青春の旅の折り返し点、山口駅(山口県山口市)に行くことにする。


もうすっかりおなじみの「広島カラー」の普通列車・宮野行きに乗りこんでわずか3分。

県都・山口のかつての中心駅「山口駅」に到着。(2005年10月に旧・小郡町が山口市と合併したため、現在は「新山口駅」)

超ローカルな山口線にあっては、中々賑やかなホーム風景である。



山口駅には併設されたバスきっぷ販売窓口があり、降り立った観光客が秋芳洞方面への乗り換え時刻表を見て「唖然」としていた。

観光地へのバスでのアクセスは、萩方面へは中国JRバスが普通便(極端に便数が少ない)のほか、特急はぎ号が6往復している。

しかし、秋芳洞へは2時間に一本程度のローカル路線バスに便乗するしか手がない。

もっとも、新山口駅まで戻れば防長交通など他の便もあるにはあるが、もう観光客需要などバス会社は見込んでいないのだろう。


「青春18きっぷ」をポケットに、寄り道の旅を続けて来たが、いつのまにか春の一日も夕闇がせまり、広島に向けての帰路の旅が始まろうとしている。

鉄道のほか、バスにもこだわる筆者としては、地方都市でのローカル交通機関の現状にも若干触れる旅だったと思う。






再び、防府駅


ここからは、普通・白市行きに乗り山陽線をひたすら東へ上り、
五日市駅まで戻ることにする。


本日最後の乗車となる113系電車が、闇に包まれた防府駅1番ホームへ滑り込んできた。

休日のこの時間帯は車内も閑散としており、気兼ねなく「
まる」を楽しみながら、一日の疲れを癒すことができる。



このページの冒頭で、”「心はいつも青春」の筆者HIRO”と書いたが、やはり間違いだ。


他人からみて、こんな姿は「おやじ」以外何ものでもないから。


JR五日市駅に降り立つ。


防府駅を出て、2時間10分の旅だったが、充実した一日だった。


ちなみにここは、広島電鉄五日市駅も併設されているので、あえてJRをつけている。


さて、本日の「青春の旅」はここまで。


運賃を普通に支払うと、約5000円分になり、一日あたり1600円の
JR発足20周年・青春18きっぷはおおいに、その威力を発揮したといってよいだろう。


残り4日分に、どんな「青春ドラマ」が待っているか、今から楽しみである。(完)

(感謝)拙い文章を最後までご覧いただき、ありがとうございます

取材: 2007年3月

JR五日市駅⇒JR宮島航路⇒JR防府駅⇒中国JRバス⇒JR新山口駅⇒JR湯田温泉駅⇒JR山口駅・・・・JR防府駅⇒JR五日市駅

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